洗濯が終わったと思ってふたを開けたら、衣類がびしょびしょのまま止まっていた。そんな経験をすると「故障してしまったのでは」と焦ってしまうのは当然のことです。
しかし、洗濯機が脱水できない原因の多くは、洗濯物の片寄りや排水フィルターの詰まりといった、自分で対処できるものです。修理依頼や買い替えを検討する前に、まずは原因を一つひとつ確認してみましょう。
この記事では、脱水できない主な原因の種類をH2-1で整理し、H2-2では自分でできる対処法と、修理・買い替えの判断基準を解説します。
- 脱水できない原因の多くは洗濯物の片寄りや排水フィルターの詰まり
- 電源リセットと偏り調整で多くのケースが解決できる
- 縦型とドラム式では起こりやすい原因が異なる
- 修理費用の目安と買い替えを検討すべきタイミングも解説
洗濯機が脱水できない主な原因
- 洗濯物の片寄りが脱水エラーの最多原因
- 排水フィルターや排水口の詰まりが脱水不可につながる
- 電源リセットで解決するエラーとエラーコードの確認
- フタのロックセンサーと洗濯機の傾きによる停止
- 縦型洗濯機とドラム式で異なる脱水不良の特徴
洗濯物の片寄りが脱水エラーの最多原因

脱水トラブルで最も多い原因は、洗濯物の片寄りです。複数のソースでこの点が指摘されています。脱水時、洗濯槽は毎分800〜1000回以上の高速回転で遠心力を利用して水分を飛ばす仕組みになっています。このとき、衣類が一箇所に固まると回転バランスが崩れ、振動が増大します。
洗濯機には加速度センサーや振動センサーが搭載されており、異常な振動を検知すると自動で回転を停止させます。その後、洗濯機は自動で注水して衣類をほぐす「補正運転」を行います。これが、脱水が終わらずにすすぎに戻り続けるループ現象の正体です。
片寄りが起きやすいのは、厚手のバスタオルや毛布など水を含んで重くなる衣類です。また、洗濯容量の7〜8割を目安に量を調整することが推奨されています。洗濯ネットに衣類を詰め込みすぎるとボール状になり、偏りが起きやすくなるため注意が必要です。
排水フィルターや排水口の詰まりでの脱水不可

洗濯機が脱水できない原因として、排水経路の詰まりも複数ソースで挙げられています。脱水を開始するには「槽内の水が残らず抜けていること」が前提条件となっています。排水口や排水ホースが詰まっていると洗濯槽に水が残り、脱水に進めなくなります。
糸くずフィルターに繊維・髪の毛・洗剤カスが蓄積するとヘドロ状になり、排水経路を塞いでしまいます。ドラム式洗濯機は節水構造のため洗剤濃度が高くなりやすく、フィルターに詰まりが起きやすい傾向があります。
排水ホースの折れや潰れ、逆勾配も排水不良の原因となります。排水時にゴボゴボ音がする、水が逆流する、排水口付近からニオイがするといったサインが出た場合は、詰まりを疑いましょう。また、寒冷地や屋外設置の場合、冬場に排水ホース内の水が凍結して排水できなくなるケースも確認されています。
さらに、洗濯槽裏側の汚れが剥がれて排水経路へ流れ込む場合もあるとのことです。
電源リセットで解決するエラーとエラーコードの確認

洗濯機の制御基板がフリーズしたり、水位センサーが一時的に誤作動を起こしたりすることで脱水エラーになる場合があります。この場合は電源リセットが有効です。電源プラグを抜いて30秒〜1分放置することで内部の電気を放電し、エラー記憶をリセットできます。その後、「脱水のみ」コースを選択して再試行してみましょう。
操作パネルにエラーコードが表示されている場合は、メーカーからの具体的な不具合通知です。主要メーカーのエラーコードは以下の通りです。
- パナソニック:U11(排水できない)、U13(脱水できない・片寄り)
- 日立:C02(排水されない)、C4/C04(脱水バランス不良)
- シャープ:E03(排水異常)
- 東芝:C1(排水異常)
- AQUA:E01/E1(排水異常)
表示されたエラーコードは取扱説明書で確認するか、メーカー窓口に問い合わせましょう。
フタのロックセンサーと洗濯機の傾きによる停止

フタや扉がきちんと閉まっていないと、蓋ロックセンサーが反応せず脱水運転が始まらない仕組みになっています。これは複数のソースで指摘されている点です。ロック部分にホコリや洗剤カス、柔軟剤の粘り気が付着していると誤作動することがあります。ドラム式の場合はパッキン部分に靴下などの小物が挟まっていてドアがきちんと閉まらない場合があるため、ゴムパッキンの裏側まで確認しましょう。
また、洗濯機が水平に設置されていないと、脱水時の振動を検知して停止することが複数ソースで確認されています。洗濯機に内蔵されている水準器の気泡が中央の円内に収まっているか確認してください。傾いている場合は調整脚を回して高さを調整します。
床が柔らかい場合は防振マットや防振ゴム、補強板の使用が有効です。設置状態に不安がある場合は、販売店や設置業者への依頼が推奨されています。
縦型洗濯機とドラム式で異なる脱水不良の特徴

ドラム式洗濯機は、重量センサーや振動センサーが縦型より過敏に設定されています。そのため、バスタオル1枚など少ない量でも偏心して脱水が始まらない場合があります。節水構造のためフィルター詰まりも起きやすく、こまめな掃除が重要です。シャープの穴なし槽はバランスがシビアで、本体の水平設置が特に重要とされています。
縦型洗濯機では、パルセーター(回転翼)とモーターを繋ぐVベルトの劣化で空回りするトラブルが起きやすいとのことです。モーターの音はするのに洗濯槽が回転しない場合は、このVベルトの切れや緩みが考えられます。また、洗濯物が多すぎるとパルセーターが正常に動かず脱水できない場合があります。
ドラム式では衣類をドラム奥側に広げて入れること、縦型では衣類をドーナツ状に配置することで偏りを防ぎやすくなるとの報告があります。
洗濯機が脱水できない時の対処法と修理の判断
- 洗濯物の偏りを自分で直す具体的な手順
- 排水フィルターと排水口の掃除手順
- 修理費用の目安と買い替えを検討すべきタイミング
洗濯物の偏りを自分で直す具体的な手順

脱水エラーが出た際は、まず一時停止して衣類を取り出し、ほぐしてから再配置します。ドラム式の場合はドアロックが解除されるまで少し待ってから開けましょう。
重い衣類(ジーンズ・バスタオル)と軽いものが一箇所に固まらないよう、対角線上に配置します。縦型はドーナツ状(中心を空洞に)に入れ直し、ドラム式は衣類をドラム奥側に広げて入れます。
洗濯物が少なすぎる場合は、乾いたバスタオルを1〜2枚追加してカウンターウェイト代わりにするとバランスが整いやすくなるとの報告があります。脱水エラーが出た際は洗濯ネットから衣類を取り出して脱水すると改善する場合があるとの報告もあります。
防水性の衣類(キッチンマット・レインコートなど)は水を抱え込んで偏りの原因になるため、取り出してから脱水しましょう。再配置後は一度電源を切り、「脱水のみ」コースで再起動することをお勧めします。
排水フィルターと排水口の掃除手順

作業前に必ず電源を切り、コンセントを抜いてから行いましょう。
ドラム式洗濯機の糸くずフィルターは、本体下部の前面パネル内にあります。フィルターを反時計回りに回して取り外し、流水で汚れを洗い流します。頑固な汚れは中性洗剤と歯ブラシで網目をこすり洗いします。フィルター設置部分の奥も清掃が必要です。縦型洗濯機の糸くずフィルターは洗濯槽内の上部や側面に設置されています。
排水口は、カバーを外して中性洗剤と歯ブラシで洗浄します。市販のパイプクリーナーを使用する際は、事前にメーカー推奨品を確認してから使いましょう。掃除後は「脱水のみ」コースで試運転し、排水の流れを確認することをお勧めします。
排水ホースの折れや潰れ、逆勾配がないかも確認してください。ホースが洗濯機本体の足に踏まれて潰れていたり、途中が山なりになって逆勾配になっていたりすると、排水がスムーズに行われません。
なお、洗濯機の内部分解や排水弁の分解は感電や故障拡大につながる可能性があります。自己判断での分解は避け、症状が改善しない場合はメーカーサービスにご相談ください。
修理費用の目安と買い替えを検討すべきタイミング

対処法を試しても改善しない場合、内部部品の故障が考えられます。修理費用の目安(技術料・出張費込み)は以下のとおりです。
- 水位センサー・各種スイッチ:15,000〜25,000円
- 吊り棒・サスペンション・ダンパー:20,000〜35,000円
- モーター・制御基板・軸受:35,000〜60,000円以上
洗濯機には標準使用期間が定められており、多くのメーカーで約7年とされています。内閣府消費動向調査によると二人以上世帯の平均使用年数は約10.2年ですが、これはトラブルなく快適に使える期間とは異なります。
7年以上経過している場合は、修理しても別の箇所が故障する「故障の連鎖」が起きやすいとのことです。購入から間もない場合はまず保証期間内での修理が可能か確認しましょう。脱水時に「ガリガリ」「キーキー」といった異常音がする場合や焦げ臭いにおいがする場合は、重大な故障の前兆である可能性があります。使用をすぐに中止して、メーカーサービスにご相談ください。
脱水できない洗濯機のトラブル原因と対処法まとめ
この記事のまとめです。
- 洗濯機が脱水できない原因として最も多いのは洗濯物の片寄り(アンバランス)
- 脱水は毎分800〜1000回以上の高速回転を行うため、衣類の偏りが激しい振動を引き起こす
- 洗濯機は振動センサーが異常を検知すると自動停止し、「補正運転(注水してほぐす動作)」を行う
- これが「すすぎに戻る」現象の正体で、故障ではなく安全動作の場合がある
- 排水口・排水ホース・糸くずフィルターの詰まりも脱水不可の大きな原因となる
- 脱水前提条件として「槽内の水が残らず抜けていること」が必要
- 電源プラグを抜いて30秒〜1分放置する電源リセットで一時的なエラーが解消することがある
- フタのロックセンサーの誤作動や洗濯機の傾きでも脱水が停止する
- ドラム式はセンサーが過敏で少量でも偏りが起きやすく、フィルター詰まりにも注意が必要
- 縦型はVベルト(モーターと槽をつなぐゴムベルト)の劣化で空回りするトラブルが起きやすい
- 偏り対処は衣類を取り出してほぐし、縦型はドーナツ状・ドラム式は奥側に広げて再配置する
- 糸くずフィルターは流水と歯ブラシで洗浄し、排水口も中性洗剤で清掃する
- 修理費用は箇所によって15,000〜60,000円以上と幅があり、7年以上経過している場合は買い替えも検討に値する
- 異常音(ガリガリ・キーキー)や焦げ臭いにおいがある場合はすぐに使用を中止してメーカーサービスに相談する
- 内部分解は感電や故障拡大のリスクがあるため、自己判断での分解は避けメーカーサービスへ依頼する

