洗濯機の排水溝掃除のやり方と汚れを防ぐコツ

洗濯機の排水溝掃除のやり方と汚れを防ぐコツ

洗濯するたびに排水口に少しずつ汚れが蓄積していく。糸くず、洗剤カス、髪の毛、皮脂汚れ――見えない場所で静かに進む汚れが、ある日突然「排水エラー」や「下水のような嫌な臭い」として表れる。洗濯機まわりからにおいがする、脱水時にエラー表示が出る、そんな経験がある人は多いのではないだろうか。

原因のほとんどは排水口の汚れだ。洗濯機の排水口には「排水トラップ」という構造があり、ここに汚れが蓄積すると詰まり・逆流・悪臭といったトラブルに発展する。しかし掃除の手順を知っていれば、自分でもきれいにできる場所でもある。

この記事では、洗濯機の排水溝が汚れる仕組みと自分でできる掃除の手順、そして汚れをためにくくするコツをわかりやすく解説する。排水エラーや悪臭が気になりはじめたら、ぜひ参考にしてほしい。

この記事のポイント
  • 洗濯機の排水口が汚れる主な原因は、糸くず・洗剤カス・皮脂汚れなどの洗濯排水である
  • 排水口の掃除は月1回が目安で、パーツを外してパイプクリーナーや重曹を使って洗浄する
  • 掃除手順は「パーツ取り外し→パイプクリーナー投入→パーツ洗浄→水で流す→元に戻す」の5ステップ
  • 日頃から糸くずフィルターの清掃・洗濯槽の洗浄・残り湯を使わない工夫で汚れを予防できる
目次

洗濯機の排水溝が汚れる原因と掃除前の基礎知識

  • 排水口が汚れる仕組みと汚れの正体
  • 汚れを放置するとどうなるか:3つのトラブル
  • 掃除の頻度と必要な道具・洗剤一覧

排水口が汚れる仕組みと汚れの正体

排水口が汚れる仕組みと汚れの正体

洗濯機が排水を行うたびに、洗濯水には多くの不純物が含まれている。洗剤カス・糸くず・綿ぼこり・髪の毛・ペットの毛・皮脂汚れ・砂や泥など、さまざまな汚れが洗濯排水に混じって排水口へと流れ込む。

ゴミ取りネットや糸くずフィルターがある程度の汚れをせき止めてくれるが、微細な汚れまで取り除くことはできない。除去しきれなかった汚れは排水口へと流れ込み、少しずつこびりついて蓄積していく。

糸くずフィルターを掃除せずに使い続けると目詰まりを起こし、取りきれない汚れが排水口へ流れ込みやすくなる。

排水口の下には「排水トラップ」という設備があり、常に一定量の排水が溜まる構造になっている。排水トラップの多くはS字構造やお椀型構造で、形状的に汚れが詰まりやすい特徴がある。こうした構造的な要因も、排水口が汚れやすい理由のひとつだ。

汚れの種類は洗剤カス・糸くずだけではない。排水口の湿度の高い環境ではカビや雑菌が繁殖しやすく、ヌメリや黒カビの原因になる。また、水道水に含まれるミネラルが固まった水アカも内部にこびりつく。洗剤や柔軟剤の成分が溶け残った石けんカスも同様に蓄積しやすい汚れのひとつだ。

バイオフィルムと呼ばれるぬめりは細菌が繁殖して作る膜状の汚れで、掃除をしても3〜7日で再形成され始めるとの報告がある。洗濯機を屋外や寒い場所で使っている場合、洗濯洗剤が固形化して排水口を塞ぎやすくなる可能性もある。

排水口が汚れているかどうかは外から見えにくく、狭いスペースに設置されていることが多い。そのため掃除が後回しになりやすい場所でもある。しかし「そもそも排水口は汚れやすい」という前提を持ち、定期的な掃除を習慣にすることが大切だ。

汚れを放置するとどうなるか:3つのトラブル

汚れを放置するとどうなるか:3つのトラブル

排水口の汚れを放置した場合に起こりやすいトラブルは、大きく「排水の逆流」「排水エラー」「悪臭」の3種類に分類できる。

排水の逆流

ゴミや糸くずが排水口に詰まって流れを阻害すると、排水トラップから汚れた水があふれ出すことがある。少量の逆流なら防水パンが受け止めてくれるが、大量の排水が逆流したり、防水パン自体が設置されていなかったりする場合は床や壁への浸水リスクがある。

集合住宅の場合、床へあふれた排水が階下まで浸水被害を広げる可能性があり、損害賠償につながるケースもあるため注意が必要だ。

排水エラー

排水口が詰まると、洗濯機の脱水中にエラーが発生することがある。洗濯槽内から排出された水が排水口の詰まりでうまく流れず、排水ホース内に溜まってしまうことが原因だ。排水エラーは故障ではないが、その状態で無理やり脱水を行い続けると洗濯機本体が故障する可能性がある。

悪臭

排水トラップに溜まった水は「蓋」の役割を担い、下水臭や害虫の侵入を防いでいる。しかし詰まりなどで排水トラップの水が減ると、空気の通り道ができて配管内の悪臭が逆流する。排水トラップに水が溜まらなくなると、雑菌やカビが繁殖するだけでなく、ゴキブリやネズミが発生する可能性もあるとの報告がある。

2ヶ月以上放置すると汚れが少しずつ蓄積してトラブルの元になる。また、排水口の汚れを放置すると、洗濯したはずの洗濯物にカスやゴミが付着する不具合が起こることもある。臭いや汚れが改善しない場合は排水口より奥の排水管にトラブルがある可能性があり、業者への高圧洗浄依頼が必要になるケースもある。

掃除の頻度と必要な道具・洗剤一覧

掃除の頻度と必要な道具・洗剤一覧

洗濯機の排水口の掃除頻度は月1回が目安だ。残り湯を使って洗濯している場合は汚れが溜まりやすいため、掃除頻度を上げることが推奨される。

掃除に必要な道具を事前にそろえておくとスムーズに作業が進む。

  • パイプ洗浄剤(パイプクリーナー): 排水口に流し込んで汚れを落とす
  • 浴室用洗剤: 各パーツの汚れを洗い落とす
  • ブラシ・スポンジ: 汚れを直接落とす。使わなくなった歯ブラシがおすすめ
  • バケツ・たらい(2個以上): 排水ホースの残留水を受けたり、パーツをつけ置きしたりするため
  • ゴム手袋: 薬剤や汚れが手に付着することを防ぐ。パイプクリーナーはアルカリ性で化学やけどのリスクがある
  • 雑巾(複数枚): 床への浸水を防ぐために敷いたり、汚れを拭いたりするため

パイプ洗浄剤や浴室用洗剤はホームセンターやドラッグストアで購入できる市販品で構わない。

洗剤の選び方

パイプユニッシュなどの液体パイプクリーナーは強アルカリ性で、髪の毛・油・詰まりかけに効果的だ。つまり予防・ニオイ消臭は7〜8プッシュ、詰まりの解消は20プッシュが目安となる。

重曹+クエン酸は食品添加物レベルの成分で安全性が高く、軽い汚れやぬめりの予防・日常掃除に向く。強い汚れにはパイプクリーナー、普段のお手入れには重曹+クエン酸と使い分けるのがおすすめだ。

塩素系洗剤のパイプクリーナーと酸性洗剤(クエン酸等)を混ぜると有害ガスが発生するため、絶対に混ぜないこと。

洗濯機の排水溝掃除の手順と汚れを防ぐコツ

  • Step 1: 作業前の準備とパーツの取り外し方
  • Step 2: パイプクリーナー投入とパーツの洗浄
  • Step 3: 水で流してパーツを元に戻す
  • 排水溝を汚れにくくするための予防策

Step 1: 作業前の準備とパーツの取り外し方

Step 1: 作業前の準備とパーツの取り外し方

安全に作業を進めるためには、事前準備が重要だ。まず感電・漏電を防ぐため、必ず洗濯機の電源を切り、コンセントから電源プラグを抜く。次に、掃除中に水が漏れてしまうことがあるため、洗濯機の蛇口をきちんと閉める。蛇口を開けたまま作業すると床が濡れてしまう。

水抜きの手順は「給水栓を閉じる→3分を目安に脱水運転を行う→電源を切る→電源プラグを抜く」の順で進める。

排水口が洗濯機の下に隠れている場合や手が届かない場合は洗濯機を移動させる。洗濯パンの前カバーが外せるタイプなら移動不要の場合もある。重い洗濯機を引きずると洗濯パンが破損する危険があるため、複数人で持ち上げて移動させることが必要だ。

パーツを外す前に、スマートフォンで写真を撮り、どこにどのパーツが収まっているか記録しておくと、元に戻す際に迷わずに済む。

排水エルボの近くには雑巾を複数枚置いておく。排水ホースを外すと残留水があふれることがあるためだ。

パーツの取り外し順序は以下のとおりだ。

1. 排水エルボから排水ホースを取り外す

2. 排水口から排水エルボを引き抜く

3. 目皿を反時計回りで外す

4. 排水筒(封水筒)を反時計回りで外す

5. 泡防止パイプを取り外す

6. 仕切筒を取り外す

排水ホースを固定するクリップにはばねタイプ・ねじ式ホースバンド・ホースバンド・スナップ式などの種類があり、形状によって外し方が異なる。ばねタイプは洗濯ばさみのような形で上部をつまんで開き引き抜く。ねじ式ホースバンドは手またはドライバーで回して緩める。スナップ式はプラスチック製で噛み合わせ部分を横にずらして外す。

取り外したら、排水口の入り口付近にたまったゴミや異物(髪の毛・糸くず・アクセサリーなど)を手で取り除く。古歯ブラシや掃除用ブラシで排水口入り口付近の汚れをこそぎ取るとよい。ブラシで奥まで無理に掃除すると配管を傷つけるリスクがあるため、排水口に近い部分のみにとどめることをおすすめする。

Step 2: パイプクリーナー投入とパーツの洗浄

Step 2: パイプクリーナー投入とパーツの洗浄

パーツを取り外したら、パイプ洗浄剤(パイプクリーナー)を排水口内に注入する。パイプユニッシュの場合の使用量の目安は、つまり予防・ニオイ消臭・ヌメリ除去は7〜8プッシュ、詰まりの解消は20プッシュだ。

規定のつけ置き時間(15〜30分)を守ることが重要だ。長く放置すると溶けた汚れが固まってかえって詰まりの原因になる可能性がある。塩素系パイプクリーナーが手についたらすぐに流水で洗うこと。「化学やけど」を引き起こす可能性があるためだ。

つけ置き時間を活用して、取り外したパーツを同時に洗浄すると効率よく作業が進む。

重曹+クエン酸を使う場合

排水口に重曹200mlを振りかけ、その上にクエン酸100mlを振りかける。その後45〜50度のお湯をゆっくり注いで30分放置する。熱湯(60度以上)は配管を傷めるため使用しない。

パーツの洗浄方法

バケツに水を張り浴室用洗剤を溶かして各パーツをつけ置きする。スポンジや古歯ブラシでこすり落とすと汚れが取りやすい。落ちにくい汚れにはウタマロクリーナーなどの中性洗剤を吹きかけてからブラシでこする方法も有効だ。余裕があれば塩素系漂白剤でパーツを消毒することもできる。バケツに水を張りキャップ1/4杯(約6ml)の漂白剤を入れ5〜10分つけ置きしてから水洗いする。

排水口を傷つける可能性があるため、たわし(金属たわし含む)の使用は避けること。

Step 3: 水で流してパーツを元に戻す

Step 3: 水で流してパーツを元に戻す

つけ置き時間が経過したら水を排水口に流して薬剤を洗い流す。バケツで3回程度汲んで流すとよい。一気に注ぎ入れると排水口からあふれ出る可能性があるため、コップなどを使って数回に分けて洗い流すことが大切だ。

パーツを元に戻す順序は取り外した逆の順番になる。

1. 仕切筒を入れる

2. 泡防止パイプを入れる

3. 排水筒を入れて時計回りでロックをかける

4. 排水筒の穴にコップ1杯(約180ml)程度の水を入れる

5. 目皿を取り付けて時計回りでロック

6. 排水エルボを目皿中央の穴に差し込む

7. 排水ホースを差し込む

排水筒(封水筒)に水を入れるのは封水を作るためだ。水が溜まるまでの間、下水臭がする原因になるため、必ず水を入れるようにする。

パーツのパッキンが正しく装着されているか確認する。パッキンがあることで他パーツと密着して臭い戻りを防ぐ。

各パーツはカチッと音がなるまでしっかり閉めて正しい位置に収める。ドラム式洗濯機の場合は糸くずフィルターも一緒に洗浄する。洗濯機を元の位置に戻す際は、排水ホースが洗濯機の下敷きになったり折れ曲がったりしないよう確認する。折れや破れがあれば交換が必要だ。

掃除後は洗濯機を試運転して排水が正常に行われるか確認する。下水の臭いが残る場合は封水(水の蓋)がきちんとできているか再確認しよう。

掃除後もまだ臭いが気になります。どうすればいいですか?

封水筒にコップ1杯の水をしっかり入れたか確認してみてください。それでも改善しない場合は排水管の奥にトラブルがある可能性があります。

排水溝を汚れにくくするための予防策

排水溝を汚れにくくするための予防策

排水口を清潔に保つためには、日頃からの予防策も重要だ。

糸くずフィルターのこまめな清掃

糸くずフィルターやゴミ取りネットのゴミは気づいたらすぐに取り除く習慣をつけたい。フィルターから溢れたゴミがそのまま排水口に流れてしまうためだ。

残り湯の使用を控える

できるだけお風呂の残り湯は洗濯に使わないほうが望ましい。残り湯には髪の毛・皮脂・雑菌が含まれており、排水口の汚れの原因になる可能性がある。残り湯を使う場合でも、すすぎの工程では必ず新しい水を使うようにする。

洗濯槽の定期洗浄

月1回は市販の洗濯機クリーナーで洗濯槽を洗浄することが推奨される。洗濯槽の汚れが排水口に流れ出ることを防ぐためだ。洗濯槽クリーナーには塩素系漂白剤・酵素系漂白剤・重曹などが使えるが、メーカーごとに推奨するタイプが異なるため取扱説明書を確認することが大切だ。洗濯物にカビ臭やゴミの付着が気になりはじめたら、それも洗濯槽の汚れサインと考えられる。

洗濯機のカビ臭・ゴミの付着など洗濯物への不具合を感じたら、洗濯槽の掃除サインとして1〜2ヶ月に1回の洗浄が目安になる。

排水ホースの交換

排水ホースは2〜3年使用して汚れが激しい場合は交換を検討する。ホース内部には汚れが溜まりやすく、半年に1回程度のペースで交換できると理想的との報告がある。排水ホースはホームセンターなどで購入できるが、対応した製品が見当たらない場合はメーカーに問い合わせるとよい。

洗濯機を設置する際に洗濯パンや防水パンがあると、排水の逆流時に床への浸水を防げる。最近の戸建住宅では防水パンなしで洗濯機を設置できる家も増えており、キャスター付きの洗濯台などを活用して掃除しやすい環境を整える方法もある。

排水口を洗浄してもつまりや臭いが改善しない場合は排水管の奥にトラブルがある可能性があり、水道修理業者に高圧洗浄を依頼することになる。また、ご家庭での掃除では取り除けない排水口の奥の汚れや洗濯槽の裏側の汚れについては、専門業者の洗濯機クリーニングを活用するのも選択肢のひとつだ。

洗濯機の排水溝掃除の手順と汚れ防止ポイントまとめ

この記事のまとめです。

  • 洗濯機の排水口には洗剤カス・糸くず・綿ぼこり・髪の毛・皮脂汚れなど多くの不純物が洗濯排水とともに流れ込み、少しずつ蓄積する
  • ゴミ取りネットや糸くずフィルターでは除去しきれない微細な汚れが排水口へ流れ込む
  • 排水口の下にある「排水トラップ」はS字構造やお椀型構造で、形状的に汚れが詰まりやすい
  • バイオフィルム(ぬめり)は細菌が作る膜状の汚れで、掃除後3〜7日で再形成され始める可能性がある
  • 汚れを放置すると「排水の逆流」「排水エラー」「悪臭」の3つのトラブルが起こりやすくなる
  • 集合住宅では逆流による階下への水漏れが損害賠償につながるケースもあるため早めの対処が重要だ
  • 掃除頻度の目安は月1回。残り湯を使って洗濯している場合はさらに頻度を上げることが推奨される
  • 掃除の手順は「パーツ取り外し→パイプクリーナー投入(15〜30分放置)→パーツ洗浄→水で流す→元に戻す」の5ステップ
  • パイプユニッシュは通常のお手入れに7〜8プッシュ、詰まり解消には20プッシュが使用量の目安
  • 重曹+クエン酸は安全性が高く日常掃除に向くが、塩素系洗剤との混合は有害ガスが発生するため厳禁
  • 封水筒にコップ1杯(約180ml)の水を入れてから組み立てることで、下水臭の逆流を防げる
  • 糸くずフィルターをこまめに清掃し、残り湯の使用を控えることで排水口の汚れを減らせる
  • 排水ホースは2〜3年ごとに交換することで排水口への汚れの流れ込みを減らせる
  • セルフケアで改善しない場合は排水管の奥にトラブルがある可能性があり、業者への高圧洗浄依頼が必要になる場合がある
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この記事を書いた人

こんにちは!
「洗濯機のミカタ」を運営している ミカちゃん先生 です。

家電量販店での勤務経験と、洗濯機オタクな日常から得た知識を活かして、
「どの洗濯機を選べばいいの?」「この機能って何?」といった疑問に
やさしく、分かりやすくお答えしていきます。

ドラム式か縦型か、メーカーの違い、実際の使用感など、
洗濯機にまつわる情報をたっぷりお届けしていきますので、
あなたの洗濯機選びに、少しでもお役に立てればうれしいです♪

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