洗濯機の温水洗浄は、シャツの皮脂汚れや黄ばみ、衣類のニオイが気になるときに検討したい機能です。洗剤液をヒーターで温めるタイプなら、水しか出ない蛇口でも温水で洗えます。ただし、通常の洗濯より時間が長くなり、コースによって洗える量も変わります。
まず分けて考えたいのは、洗濯機自身が水を温める「温水洗浄」と、手持ちの洗濯機へ「お湯を入れること」。温水コースがある機種でも、外から高温のお湯を給水してよいとは限りません。効果と負担を比べながら、温度の選び方と家庭で使う際の注意点を見ていきましょう。
- 温水洗浄の仕組みと皮脂・黄ばみへの効果
- 目的別の温度とコースの使い分け
- 機種別に見る容量・時間・電気代の目安
- 給水温度・残り湯・衣類表示の注意点
洗濯機の温水洗浄でできることと、効果・温度・電気代
温水洗浄は洗濯機が水を温める?方式の違いを知ろう

パナソニックの温水コースでは、給水された水を洗濯槽の下にある温水専用ヒーターで徐々に温めます。洗濯中もセンサーで水温を検知し、ヒーターを入れたり切ったりして設定温度を保つ仕組みです。お湯を用意してから洗濯機へ運ぶ必要はありません。
一方、日立の「温水ミスト」は、水道水のミストを衣類へ吹きつけ、温風で衣類の温度を約30〜40℃に温める機能です。メーカーは黄ばみなどの汚れの予防・除去に案内しています。洗剤液全体をヒーターで加熱する方式と、ミストと温風で衣類を温める方式では、温める対象が違います。
そのため、購入時に「温水に対応」とだけ書かれていても、同じ機能とは考えない方がよいでしょう。洗剤液を設定温度に保って洗いたいのか、衣類を温めるコースを使いたいのかで、確認する説明が変わります。方式を見たうえで、目的に合うコースと容量まで比較するのが順序です。
皮脂汚れ・黄ばみ・ニオイには効果が期待できる
温水洗浄を検討する理由として挙げたいのは、首まわりや袖口に残る皮脂汚れです。パナソニックは、蓄積して酸化した皮脂・たんぱく質汚れを黄ばみの原因と説明しています。また、これらを分解する洗剤中の酵素が働きやすい温度帯を約40℃とし、洗剤液を温めて洗う仕組みを採用しています。
黄ばみがすでに気になる場合には、保温しながら洗うつけおきコースがあります。同社の縦型の対応機種では、約40℃の高濃度洗剤液に衣類を浸し、保温とかくはんをしながら洗浄。単に温かい水で短く洗うだけでなく、つけおきの工程と組み合わせている点が特徴です。
ただし、黄ばみなら何でも落ちるわけではありません。メーカーは日光などで変色した汚れ・黄ばみは落ちないとしています。紹介されている洗浄実験も、綿100%の衣類についた着用時の皮脂汚れを対象に、粉末合成洗剤を通常の約2倍使った条件です。素材、汚れ、洗剤、水温などによって効果は異なります。
ニオイ対策も、対応するコースで考えましょう。縦型の「約40℃においスッキリコース」は、高濃度洗剤液と温水による2回洗いを組み合わせています。部屋干し臭が付着した布で消臭試験も行われていますが、効果は使用環境や状況で変わります。「温水にすれば必ず無臭になる」という意味ではありません。
15℃・30℃・40℃・60℃は目的で使い分ける

温水は、高い温度を選べばよいというものではありません。衣類に合う温度と、落としたい汚れに合うコースの組み合わせで選びます。パナソニックのドラム式LXシリーズの対応機種では、次のような使い分けが案内されています。すべての洗濯機に共通する温度設定ではありません。
| 温度・モード | 主な目的 | 選ぶときの条件 |
|---|---|---|
| 約15℃洗濯モード | 水温が低い日の洗濯 | 水温15℃以下のときに自動で加温する設定 |
| 約30℃おしゃれ着コース | デリケートなおしゃれ着の洗濯 | 対応する衣類を、容量2kgまでで洗濯 |
| 約40℃の各コース | 皮脂の蓄積予防、黄ばみ除去、ニオイ対策 | おまかせ・つけおき・におい対策など、目的別に選択 |
| 約60℃おまかせ(除菌)コース | 白物衣類の除菌 | 白物衣類のみ、容量2kgまで。衣類の水温上限も守る |
特に約40℃は、同じ温度でも目的が分かれます。普段着の皮脂の蓄積を防ぐ「おまかせ」と、黄ばんだ衣類を洗う「つけおき」、生乾きのニオイに対応するコースは別です。黄ばみを予防したいのか、すでについてしまった黄ばみを落としたいのかを先に決めると、必要なコースを絞れます。
約60℃のコースは白物衣類向けで、色柄物も一緒に洗うための設定ではありません。除菌試験の対象もドラム内の衣類です。
衣類の除菌効果を、そのまま洗濯槽全体の除菌効果として読み替えないようにしましょう。
デメリットは時間・電気代と、コースごとの容量制限
温水洗浄は、水を温めるため通常より運転時間が長くなります。加えて見落としやすいのが、温水コース専用の容量上限です。本体の洗濯容量が大きくても、黄ばみやニオイに対応するコースで同じ量を洗えるとは限りません。
具体例として、パナソニックの縦型洗濯機「FA12V6」(NA-FA12V6)を見てみましょう。公式仕様の洗濯・脱水容量は12kg、定格洗濯時の目安時間は約36分です。一方、温水コースは次の容量・時間・電気代が案内されています。以下はこの機種の例で、温水洗濯機全体の相場ではありません。
| NA-FA12V6のコース | 容量上限 | 運転時間の目安 | 1回の電気代の目安 | 電気代の試算条件 |
|---|---|---|---|---|
| 約30℃おしゃれ着 | 2kg | 約73分 | 約22円 | 2kg、水温20℃から30℃へ加温 |
| 約40℃おまかせ | 6kg | 約170分 | 約57円 | 6kg、水温20℃から40℃へ加温 |
| 約40℃つけおき | 2kg | 約200分 | 約43円 | 2kg、水温20℃から40℃へ加温してつけおき |
| 約40℃においスッキリ〈アプリ専用〉 | 2kg | 約228分 | 約75円 | 2kg、水温20℃から40℃へ加温 |
電気代は洗濯から脱水までのメーカー公表目安で、電力料金目安単価31円/kWh(税込、家電公取協調べ・2022年7月改定)によるものです。乾燥や水道の料金は含まれていません。実際の電気代は水温や衣類の量などで変わるため、表の金額を毎回の請求額としては扱えません。
表では、約40℃おまかせより、つけおきの方が電気代は低くなっています。ただし、洗濯量が6kgと2kgで異なるため、同じ量を同じ目的で洗った比較ではありません。温度や時間だけで費用を判断せず、何kgをどの条件で洗う数値なのかも一緒に見る必要があります。
家族の洗濯物をまとめて温水で洗いたい方は、希望するコースに入る量が実用上の判断材料になります。たとえばこの機種では、約40℃おまかせは6kgまで、つけおきとにおい対策は2kgまで。黄ばみが気になる衣類だけを分けて洗う使い方なら、その少量用コースを使えるかどうかがポイントです。
洗濯機で温水を使うときの注意点と、機能の選び方
手持ちの洗濯機にお湯を入れる前に、給水温度を確認
温水洗浄機能がない場合でも、お湯の使用が認められている洗濯機はあります。ただし、使える温度は取扱説明書で確かめるのが前提です。対応していない水温で使用すると、故障や水漏れの原因になります。「何℃ならどの洗濯機でも大丈夫」という一律の答えにはできません。
たとえば、パナソニックのFAQでは、風呂水などのお湯を使用する場合は「50℃未満」と案内しています。また、約60℃の除菌コースがある機種でも、内部で水から徐々に加熱するため問題ないと説明しています。内部で到達する温度と、外から給水してよい温度は別の条件です。
日立のFAQは、本文に「50℃以下」とする一方、注意欄には「50℃以上のお湯は使用しないでください」と記載しています。ちょうど50℃の扱いには表記差があるため、50℃を狙った使用は勧めません。お使いの機種の説明書にある温度条件に従い、境界が不明ならメーカーへ確認しましょう。
給湯器との接続にも注意が必要です。パナソニックと日立はいずれも、設定温度が低くても瞬間的に高温の湯が供給されるおそれがあるため、給湯器へつながないよう案内しています。ホースを物理的に取り付けられることだけで、接続してよいとは判断できません。
パナソニックは給水経路の樹脂部品の変形と水漏れを警告しています。
お風呂の残り湯は、対応機能と洗い・すすぎの設定を確認


お湯取り機能がある洗濯機なら、風呂水用の給水ホースで浴槽のお湯を汲み上げる方法があります。ただし、「風呂水を使う機能」と「設定温度まで加熱・保温する機能」は別です。温水コースと同じ条件で洗えると考えず、まずは機種の説明書で風呂水の使用方法を確認しましょう。
残り湯をどの工程で使うかも大切です。AQUAは、残り湯を使うのは「洗い」の工程だけにし、すすぎには水道水を使うよう勧めています。残り湯には汚れや雑菌などが含まれ、すすぎに使用すると衣類へ汚れなどが付着するおそれがあるためです。風呂水の設定を選ぶ際は、すすぎまで残り湯になっていないか見ておきましょう。
入浴剤を使った日は、その製品表示で洗濯に使えるかを確認します。AQUAは、入浴剤によっては色移りする場合があると案内しています。また、残り湯は早めに使うことを勧めています。温かさだけで判断せず、お湯の状態と入浴剤の条件まで含めて使い分けてください。
操作は機種ごとに異なるので、一律のボタン操作にはできません。AQUAの案内例では、風呂水用ホースを取り付け、浴槽に入れたあと、水栓を開けてからコースと風呂水を使う工程を設定します。残り湯を使う場合でも水栓を閉めたままにせず、説明書に沿って準備しましょう。
衣類の洗濯表示・水温上限・洗剤指定を守る
温水を使う前は、洗濯機側の条件だけでなく、衣類側の洗濯表示も見ます。洗濯桶の記号にある数字は液温に関する表示です。温水コースを選べる洗濯機でも、衣類の水温上限を超えて洗ってよいわけではありません。水洗いできない衣類は、お湯に変えても洗えるようにはなりません。
パナソニックの約40℃つけおきコースでは、手洗い指定や水洗いできない衣類を洗わないよう案内しています。傷みや色移りのおそれもあり、縦型の案内では色柄物と白物の分け洗いが必要です。「お湯なら汚れが落ちそう」という理由で、衣類に合わないつけおきを選ばないようにしましょう。
おしゃれ着を温水で洗いたい場合は、対応するおしゃれ着コースの条件で判断します。縦型の約30℃おしゃれ着コースでは、衣類の絵表示に従って洗剤を使い、中性洗剤の表記がある衣類には、おしゃれ着用中性洗剤を使う案内です。温度だけを合わせて通常のコースへ入れるのではなく、洗い方と洗剤の指定も合わせます。
洗濯量の上限も、仕上がりと衣類を守る条件です。パナソニックは、温水コースの上限を超えると洗濯時間が長くなり、衣類が傷んだり、十分な効果が得られなかったりする場合があるとしています。通常コースで入った量でも、温水コースでは一度に洗えないことがあります。
温水機能は必要?縦型・ドラム式とも使うコースから選ぶ


温水機能を優先したいのは、皮脂の蓄積や黄ばみが気になる衣類を定期的に洗いたい方、衣類のニオイに対応するコースを使いたい方です。こうした目的があるなら、普段着のおまかせ、黄ばみ向けのつけおき、におい対策というコースの違いが購入時の比較材料になります。
一方、使いたい衣類がその温度やコースに対応していない場合や、少量に分けて長時間洗う使い方を予定していない場合は、温水機能を購入の最優先にするか考えてみてください。私は「何℃まで上がるか」より、家で洗いたい衣類を、その容量と時間で洗えるかを重視します。
縦型とドラム式のどちらにも、洗剤液を直接加熱する温水機能の搭載例があります。形だけで温水対応を判断せず、候補機種に必要なコースがあるかを見ましょう。たとえば、白物衣類の約60℃除菌コースが必要なのか、約40℃の皮脂・黄ばみ対策が目的なのかで、探す機能は変わります。
操作方法も比較しておきたい点です。パナソニックのFAQでは、タッチパネル式・ダイヤル式は温度付きのコースを選び、ボタン式や縦型はコース選択後に「水温」「温水」などで設定する案内です。また、前述のFA12V6のにおい対策コースはアプリ専用。
必要な機能を、使いたい操作方法で呼び出せるかも見ておきましょう。
購入前には、候補機種の公式仕様と温水コースの説明を並べて確認するのがおすすめです。通常の洗濯容量だけで決めず、使いたいコースの容量・所要時間・試算条件を見比べてください。手持ちの洗濯機でお湯を使う場合は、先にメーカーの給水条件を確認します。
パナソニックのお湯の温度に関するFAQや、日立のお湯の使用に関するFAQも参考になります。
洗濯機の温水洗浄と使い方のまとめ
この記事のまとめです。
- 洗剤液をヒーターで加熱する温水機能なら、水しか出ない蛇口でも温水で洗えます。
- 日立の温水ミストは、ミストと温風で衣類を温める方式です。洗剤液を加熱する方式と区別します。
- 温水洗浄は皮脂汚れや黄ばみ対策の選択肢ですが、日光などによる変色まで落とせるわけではありません。
- 温度だけでなく、皮脂の蓄積予防・黄ばみ除去・ニオイ対策などの目的別にコースを選びます。
- LXシリーズの対応機種の約60℃おまかせ(除菌)コースは、白物衣類のみ、容量2kgまでです。
- 温水コースでは運転時間が長くなり、本体の洗濯容量よりコースの容量上限が小さくなる場合があります。
- 電気代の目安は、対象機種・洗濯量・加温前の水温・料金単価をそろえて判断します。
- 内部で約60℃に加熱できる機種でも、同じ温度のお湯を外から給水してよいとは限りません。給湯器への接続もメーカーの警告に従います。
- AQUAは残り湯を洗いだけに使い、すすぎには水道水を使うよう案内しています。入浴剤の使用条件も確認します。
- 温水機能の必要性は、洗いたい衣類が対応するか、必要なコースの容量と時間が家庭の使い方に合うかで判断します。
参考にした情報
- 【洗濯機全般】温水コースの仕組みや温度設定の方法は – 洗濯機/衣類乾燥機 – Panasonic
- 温水と泡の力で汚れもニオイもスッキリ 「温水スゴ落ち泡洗浄」とは | 洗濯機・衣類乾燥機 | Panasonic
- 温水スゴ落ち泡洗浄 | 特長 縦型洗濯機FAシリーズ | 洗濯機・衣類乾燥機 | Panasonic
- 洗濯にお湯を使用したいです/温度は何度までですか?:日立の家電品
- 洗濯にお湯を使っても大丈夫?メリットや注意点を解説 | AQUA
- LXシリーズ特長:温水スゴ落ち泡洗浄 | 洗濯機・衣類乾燥機 | Panasonic
- NA-FA12V6 概要 – 全自動洗濯機 | 洗濯機・衣類乾燥機 | Panasonic
- 【洗濯機全般】洗濯機に入れてもよいお湯の温度は – 洗濯機/衣類乾燥機 – Panasonic
- お風呂の残り湯を洗濯に使ってもいい?メリットや注意点を解説 | AQUA
- NA-FA12V6 仕様・詳細情報 – 全自動洗濯機 | 洗濯機・衣類乾燥機 | Panasonic








